アドベンチャーランドの設定解説|あの街だけ雰囲気が違う理由【TDL】

アドベンチャーランドのフランス風の建物が並ぶ街並み パーク・攻略

アドベンチャーランドの中でも、ジャングルクルーズのあたりは分かりやすいと思うんです。

木がうっそうと茂っていて、川があって、船で探険に出る。冒険といえばこれ、という景色。ここに疑問を持つ人は、たぶんいません。

分からないのは、カリブの海賊のまわりです。

急に建物が整って、フランス風の優雅な街並みになる。バルコニーには繊細な装飾、流れているのはジャズ。冒険というより、むしろ都会です。しかもその奥から海賊の船が出ていく。

ジャングルの隣に、なぜ都会があるのか。

わたしも長いことモヤモヤしていました。それで公式サイトを、あのへんのお店ぜんぶ順番に読んでみたんです。アトラクションではなく、レストランやスタンドの説明文を、片っ端から。

そうしたら、まったく予想していなかったお店に、答えが落ちていました。

ロイヤルストリートの装飾が施されたバルコニーと街灯

答えが書いてあったのは、中華料理店でした

チャイナボイジャーです。

正直に言うと、わたしはこのお店をずっと「便利だけどエリアから浮いてる店」だと思っていました。冒険の世界に中華って何なんだ、と。

公式の紹介文を読んで、認識がひっくり返りました。

公式設定

店名は英語で「中国の航海者」という意味。アドベンチャーランドの交易ルートで人気のこのお店は、その名のとおり、かつて海賊船で働いていた中国人コックの孫が、祖父から受け継いだレシピを出しているのだそう。ドアには中華鍋も飾られている。

二回読み返しました。

まず、「アドベンチャーランドの交易ルート」。エリア全体の構造をひと言で説明する単語が、中華料理店の紹介文にさらっと入っている。

そして、おじいさんが乗っていた船。海賊船です。

つまりカリブの海賊とこの中華料理店は、船を介してつながっている。海賊船で腕を振るっていたコックがこの町に流れ着いて、その孫が今も同じレシピで料理を出している。エリアの端と端が、一本の線で結ばれていたことになります。

つまり、海賊船のレシピが今も食べられる

ここが個人的に一番グッときたところです。

この設定、今日あそこに行けば実際に食べられるんですよね。

窓口で注文して、受け取って、ベンチで食べる。あの何気ない一皿が、設定上は海賊船の厨房から三代受け継がれてきたレシピということになる。

チャイナボイジャーの外観と入口に飾られた中華鍋

しかも、隣のお店は同じ人がやっている

この話、続きがあります。

チャイナボイジャーの隣にあるボイラールーム・バイツ。ここ、公式によると蒸気船のボイラー室を再利用したお店で、始めたのはチャイナボイジャーの店主なんだそうです。腰を落ち着けて食べる余裕のない人向けに、と考えたお店だとか。

船で来た人の孫が、今度は船の部品を使って二軒目を出している。

アドベンチャーランドの設定は「交易ルートの途中にある町」

ここまで来ると、エリア全体の形が見えてきます。

アドベンチャーランドは、船が行き来する交易ルートの上にある町です。

あの優雅な街並みは、冒険から浮いているのではなくて、冒険の出発地。船が着いて、荷物が降りて、人が乗り換えていく場所。だから中国人コックが流れ着くし、文化がいくつも混ざっている。

公式もこのエリアを「さまざまな文化が織りなす自然豊かな冒険の世界」と紹介していて、アジア、アフリカ、南国の島、ニューオーリンズの街が交差する場所だと書いています。バラバラなのは、狙ってやっていることなんですね。

「海賊の街」ではなく「船が着く街」。この前提を持って、もう一度あの一角を歩いてみます。

カリブの海賊まわりの街で、何を見ればいいのか

素通りしていたものが、急に読めるようになります。

ザ・ガゼーボ|旅立ちの直前に一服する場所

まずここ。小さな軽食スタンドなんですが、説明文がなかなか熱い。

公式設定

ガゼーボ(あずまや)は、庭園の美しさが重んじられたヴィクトリア時代に人気があった建物。ここアドベンチャーランドでは、これから探険に出発する人々が、前途に待ち受ける”発見”に備えて、ひと息つきながら準備をする休憩所の役割を果たしている。

ただの休憩所ではなくて、旅立ちの直前に一服する場所。しかも「前途に待ち受ける”発見”に備えて」ですよ。

ドリンク一杯買うだけの小さなスタンドに、この設定が用意されている。この街が出発地だという、はっきりした裏づけです。

ブルーバイユー・レストラン|船が出ていくのを眺める席

カリブの海賊の中にあるレストラン。公式によると、舞台は19世紀半ばのアメリカ南部。青い入り江に面した邸宅のテラス席です。

そして、入り江の向こうに見えているものがカリブの海へ出発する冒険者たちを乗せる船着き場

食事をしながら、これから旅立つ船を眺めている席、というわけです。あそこに座ったことがある人は、次から景色の意味が変わると思います。

ロイヤルストリート・ベランダ|店名がそのまま設定

ジャズが流れるドリンクスタンド。買って飲むだけの場所だと思っていたんですが、店名が設定そのものでした。

公式の説明によると、ベランダとは、カリブ海やアメリカのディープサウスのような温暖な地域に見られる、建物の外に張り出した屋根付きのポーチのこと。

注目したいのは、公式が自分からカリブ海を持ち出しているところ。あの建築様式はカリブ海と地続きの文化なんだと、店の名前で説明しているわけです。

隣にあるカフェ・オーリンズも、公式は「フランス文化の影響を受けたニューオーリンズならではの繊細さ」と「トロピカルな雰囲気」が同居していると説明しています。遠い土地の文化が、暖かい港で混ざった結果ですね。

ジャン・ラフィート — 実在した、ニューオーリンズの海賊

さて、ここでもう一段深いところに行きます。

カリブの海賊に乗り込むとき、頭上の看板に 「LAFFITE’S LANDING(ジャン・ラフィートの船着き場)」 と書かれています。

このジャン・ラフィート、実在の人物です。

史実

ジャン・ラフィート(ラフィット)
1803年のルイジアナ買収のころ、ニューオーリンズ近郊のバラタリアを拠点にしていた海賊・密輸業者。1815年のニューオーリンズの戦いでは、アンドリュー・ジャクソン率いるアメリカ側に1,000人以上を送り込み、イギリス軍と戦ったことで知られています。

海賊が、正規軍と組んで戦争に参加している。しかも1,000人以上を動かせる規模です。

つまりニューオーリンズと海賊は、史実の上でしっかりつながっている。優雅な街の奥から海賊船が出ていくのは、ディズニーの思いつきではなく、歴史をなぞった配置だったわけです。

カリブの海賊の入口に掲げられた船着き場の看板

カリブの海賊が動かしているのは、場所ではなく時間

もうひとつ、気づくと面白いことがあります。

出発地点は19世紀半ばのアメリカ南部。ところが公式のアトラクション説明を読むと、この先に広がっているのは17世紀から18世紀にかけて、カリブ海沿岸の港で海賊たちが大暴れしていた時代なんです。

19世紀から出発して、17〜18世紀に着く。

ボートが急流を下る、あの落下。あれ、時代の境目なんですね。ゆるやかに進んでいた船があそこだけ勢いよく落ちる理由が、そう考えるとちょっと納得できます。

豆知識

  • 宝の地図にある「Isla Tesoro」はスペイン語で「宝島」
  • カリフォルニアのディズニーランド版は、ウォルト・ディズニーが自ら監修した最後のアトラクション
  • 東京版は1983年の開園当初からあり、2007年7月20日に映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』の要素を取り入れてリニューアル

ここで、ジャングルの話に戻ります

冒頭で「ジャングルクルーズのあたりは分かりやすい」と書きました。あれ、半分だけ正しいです。

ありがちな疑問

Q. あのジャングル、カリブ海の奥地なの?

A. 違います。カリブ海は島と海の世界なので、そもそもジャングルクルーズの舞台ではありません。そして公式は、行き先を明示していません。「この地域の川」としか書かれていないんです。

ここ、けっこう驚きませんか。何十年もあるアトラクションなのに、どこの川なのか公式が明かしていない

つまりあのジャングルは「隣町の裏山」ではなく、どこか遠くの川なんです。

そして公式設定では、わたしたちが参加しているのは「ジャングルクルーズ・カンパニー」という会社の探険ツアー。ジャングルの動植物と文化の調査・保護・広報のために設立された組織で、船長たちはその地域の川を知り尽くしたプロという設定です。

待機列に船長たちの休憩所やオフィス、ジャングルの地図が置かれているのは、そういうことだったんですね。あそこ、会社の事務所です。

遠くの川で調査をしている船会社が、この交易ルートの町に事務所を構えている。そう読むと、都会とジャングルが一本につながります。

夜のクルーズは、別物として数えていいです

このアトラクションは2014年9月にリニューアルされて、夜の演出が加わりました。昼と夜で見えるものが変わるので、時間に余裕があるなら夜にもう一度乗ってみてください。同じ川とは思えません。

船が形を変えていく、というモチーフ

ここまで来ると、このエリアに繰り返し出てくる仕掛けが見えてきます。船が陸に上がって、別のものになるというパターンです。

スイスファミリー・ツリーハウスは、映画『スイスファミリー・ロビンソン』が元になっています。新天地を目指して出航した一家が嵐で船を失い、南海の孤島に漂着。壊れた船の部品や家具、島の植物を使って作り上げた家が、あの大きな木の家です。

蒸気船のボイラー室がフードスタンドになり、難破船が家になる。同じ発想ですよね。

だからツリーハウスは、登りながら「船から持ってきたもの」と「島で手に入れたもの」を見分けていくと一気に面白くなります。家具ひとつひとつに出どころがあります。

そのそばにあるのが魅惑のチキルームポリネシアンテラス・レストラン。ここだけは冒険の緊張感ではなく、たどり着いた先の楽園という感じのパートになっています。

なぜ「ウエスタン」リバー鉄道がアドベンチャーランドにあるのか

アドベンチャーランドにあるのに、名前は「ウエスタンリバー鉄道」。ずっと気になっていた人、多いと思います。

公式の答えはあっさりしていて、ルートの一部がアメリカ西部開拓地の河と並行して走るから。実際この列車はアドベンチャーランドを出発したあと、ウエスタンランドとクリッターカントリーを通って戻ってきます。

名前の由来は、駅ではなく走っていく先だったんですね。

注意

「途中で降りられないのはなぜ?」については、開園当時の鉄道関連の法律を避けるため一周運行にしたという説明が広く知られています。ただしこれは公式に発表された内容ではないので、有力な説として受け取ってください。

食事も「どこから来たものか」で選べます

構造がわかると、レストラン選びもちょっと楽しくなります。

エリア内の主な飲食施設

ニューオーリンズ側
ブルーバイユー・レストラン/カフェ・オーリンズ/ロイヤルストリート・ベランダ/ザ・ガゼーボ

交易ルート側(アジア・船)
チャイナボイジャー/ボイラールーム・バイツ/スキッパーズ・ギャレー

南国側
ポリネシアンテラス・レストラン/スクウィーザーズ・トロピカル・ジュースバー/フレッシュフルーツオアシス

同じエリアの中で、フレンチ寄りの一皿にもできるし、中華にもトロピカルドリンクにもできる。この選択肢の広さ自体が、交易ルートの町らしさなんですよね。

※営業状況やメニューは変わることがあるので、当日は公式アプリで確認してください。

アドベンチャーランドの設定についてよくある質問

Q
アドベンチャーランドはどんな場所という設定ですか?
A

さまざまな文化が交差する冒険の世界、と公式が紹介しています。チャイナボイジャーの説明文には「アドベンチャーランドの交易ルート」という表現があり、船が行き来する交易路の上にある町として読むことができます。

Q
なぜカリブの海賊のまわりだけフランス風の街並みなのですか?
A

アメリカ南部ニューオーリンズをモチーフにしているためです。ニューオーリンズはフランス文化の影響を受けた港町で、カリブ海へ向かう船が出ていく場所。実在した海賊ジャン・ラフィートもこの地域を拠点にしていました。

Q
ジャングルクルーズの舞台はどこの川ですか?
A

公式は行き先を明示しておらず、「この地域の川」とだけ説明しています。カリブ海の奥地ではありません。

Q
なぜウエスタンリバー鉄道がアドベンチャーランドにあるのですか?
A

ルートの一部がアメリカ西部開拓地の河と並行して走るため、と公式が説明しています。列車はウエスタンランドとクリッターカントリーを通って戻ってきます。

Q
ブルーバイユー・レストランはどんな設定ですか?
A

19世紀半ばのアメリカ南部、青い入り江に面した邸宅のテラスという設定です。入り江の向こうには、カリブの海へ出発する冒険者たちを乗せる船着き場が見えます。

最後に、床を見てほしい

ここまで、看板や建物の話をしてきました。最後は足元です。

ショップのアドベンチャーランド・バザールは、設定上「ジャングルの市場」。交易ルートの町なので、市場があるのは自然な流れですよね。

そしてここ、公式が自分から案内している仕掛けがあります。

床のクネクネした茶色いタイル。あれをたどっていくと、映画『ジャングル・ブック』に登場するヘビのカーの顔にたどり着きます。

床です。ほとんど誰も見ていない床に、ちゃんと仕込んである。しかも場所まで公式が示しているので、探せば確実に見つかります。

このエリア、そういう場所なんですよね。看板にも、店名にも、床にまで、読む人がいる前提で情報が置いてある。

アドベンチャーランド・バザールの床に敷かれた茶色いタイル

この景色、いつまで見られるかはわかりません

ひとつだけ、書いておきたいことがあります。

オリエンタルランドは2025年4月に「2035長期経営戦略」を発表して、パーク内のエリアを大規模に刷新していく方針と、開発構想のイメージアートを公開しました。ただし、どのエリアが対象かは明言されていません。アドベンチャーランドではないかという見方はありますが、いまのところ確定情報ではないです。

「なくなる」と決まった話ではありません。ただ、目の前の風景が永久ではないのも確かです。

だからこそ、次に行くときは少しだけ足を止めてみてほしいなと思います。

まとめ:あの街は、船が着く場所

この記事のポイント

  • 答えはチャイナボイジャーの公式説明文にあった。「アドベンチャーランドの交易ルート」という一語
  • 中国人コックの孫は海賊船でここへ来た。そのレシピは今も食べられる
  • ボイラールーム・バイツは同じ店主が蒸気船のボイラー室を再利用して開いたお店
  • ザ・ガゼーボは旅立ちの直前に一服する場所という設定
  • ジャン・ラフィートは実在の海賊。ニューオーリンズと海賊は史実でつながっている
  • ジャングルクルーズの行き先は公式に書かれていない。隣町の裏山ではありません
  • バザールの床のタイルをたどるとヘビのカーの顔が出てくる

シンデレラ城から左に折れて、ウエスタンランドへ抜けるまでの通り道。そう思っている人は多いはずです。

でもあの一角は、いろいろな場所から船が着く港として作られていました。ジャズが流れていて、フランス風の建物が並んでいて、その奥から海賊が出ていって、中華料理店では海賊船のコックのレシピが出てくる。

ちぐはぐに見えて、港ならぜんぶ揃っていておかしくないんですよね。

ソルト
ソルト

「なんでここだけ雰囲気違うんだろう」から「ここが港だったのか」に変わったら、この記事の役目は果たせたかなと思います。

→ ウエスタンランドの設定を読み解く|ゴールドラッシュから見る町の正体【TDL】

→ ミステリアスアイランドの設定を読み解く|ネモ船長の秘密基地の正体【TDS】

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